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今日も遊家にて…
第十一話 水面下での動き
最近の若者はビールを飲まないそうだ。
チューハイやらをもっぱら主に飲み、一杯目からもビールでは無いらしい。

たしかに、ビールというのは苦いだけで、何がウマいんだ?ってハードルが初心者にはある。
しかしながら、暑い日の一杯目、それも一口目のビールは格別で、
「あー、うまいっ」
となるのは、社会人としての共通の認識だと思っていた。
とにかく、大学生や社会人になると、おいしくないなと思いつつも、
みんな飲んでるからという雰囲気で飲み始め、いつしか、そのウマさがわかってくるというのがビールだと。

また、別の理由もあるだろう。
最近の若者はお金を使わないそうだ。
新聞週刊誌ではそれが不景気の原因だとかまで叩く。
まあこれはさすがに、的違いな指摘だ。
よくよく考えてみれば、
彼等は物心ついた頃から、日本は不景気だった。
ずっと不景気の世の中で育った。倹約、デフレの世の中だ。
そして、大人になれば、就職難。
そして、やっと見つけた仕事は派遣や、契約社員。もしくはフリーターを続ける。
満足な給料などもらっていないのだ。

これでは、どうにもお金など使いようが無い。
世の中が、彼等にお金を分配していないのだから、当然の帰結ともいえる。

そんな彼等が、一杯600円の生ビールを注文できなかったとしても不思議は無い。
第三のビールといわれるものでさえも躊躇するかもしれない。

前置きが長くなったが、
翻って、日本酒はどうかというと、
普通の居酒屋でも、ちゃんとした地酒と言えるものならば一合600円はする。
380円くらいの日本酒は大手酒造のまがい物なので、わざわざ飲むほどの価値は無い。

来るか来るかといわれ続けて15年。日本酒ブームはまだ来ない。焼酎ブームが去ろうという中、
それが日本酒にシフトする兆候は無い。
日本酒は、年々着々と技術進歩し、今現在の日本酒は、歴史上最高の旨さを確立しているというのに。

新しい飲み手を開拓しないことには、そんなブームは来るはずが無いのだが、
一番飲んで欲しい、新社会人たちがそのような状況なのだ。
もはやこれは、日本酒業界にとっても、必死、死活。
もうほとんど、詰みの状態では無いのか?


と、一発話を振っておいて、さて、話は変わる。
某月某日、いつもどおり遊家すずらん通店にて、須藤店長より、話のネタにと酒を紹介される。

妙の花「Challenge90番外編」、山廃純米無濾過生あらばしり、山田錦90%。
貴、濃厚辛口純米酒、麹山田錦60%、掛80%。

最近、ちらほら聞くのだけど、
あまり精米していないけれども、「綺麗な酒」という表現。
全体的に酒造りが上達したという言い方もできるかもしれないが、
一因は、“洗米”であるらしい。
伝統的な蔵では洗米作業というのは、朝早く、ザルに入れた酒米を冷水でざっぱざっぱと洗い、
その作業はストップウォッチで計測されて、米にどれくらい吸水させるかは、各蔵のノウハウとなる。
当然作業はすべて人力。

その洗米技術の向上で、ここまで旨い酒ができるということは、
それは間違いなく洗米の機械化だ。
機械により、綺麗に洗い上げ、なおかつ吸水精度を上げる。
低精米の米に何が起こるかといえば、雑味の多い酒となるのだそうだ。
それを洗米技術の向上が補っているという構図らしい。

ある蔵で新しい機械が導入されると、仲間内の間で話題になり、
じゃあ、見せてよと、わらわらと見学にいったりする。
それが、役に立つとなれば、なおその動きは加速する。
そして、こりゃいいなとおもったら、どんどん導入されていく。
そういう風に、洗米革新が静かに広がっているらしい。

もっとも、これは予想、憶測で、裏は取っていない。なんとなくそーなんだよーという話は複数のソースから聞いた。
でも正直、妙の花も貴も洗米機が導入されているのかどうかは、分からない。
90%精米まで純米酒認定と税制改定もあったそうなので、こういう酒がでてくるというのはいろいろ理由はあるのだろう。

そして、何よりもいいたいことは、
山田錦や雄町といった酒米を使用して、50%精米の純米大吟醸を一升瓶5000円で販売するとすれば、
同じ酒米を使用したとしても、90%精米の純米ならば1.8倍の酒造量となる。
そうなれば、つまりそれだけ安く販売できるというわけだ。

先日、酒屋で購入した上喜元(純米、山田錦70%)は、一升瓶2,352円であった。
そういう発想で、この価格が実現できるという例だと思う。

低精米で旨い酒、それが1つのアイデアだと思う。
山田や雄町にこだわらなければ、一升瓶2,000円を切る地酒が提供できるかもしれない。
そうすれば、店によっては、一合400円以下で提供する店も現れるだろう。
この価格なら、第三のビール、発泡酒、チューハイに対抗できる。

ちなみに上述の、妙の花は、2,500円ほど、貴は、2,100円(!)

妙の花challenge90番外編は、山廃らしくないスッキリした味わい。
遊穂を薄めたような酸を感じる。

貴濃厚辛口純米は、涼やかな甘い香り、味わいはソーダの駄菓子のような甘さがある。
面白い・・・。

なにか、それぞれの評価が微妙な表現となったが、
酒としてウマいことは保障しよう。日本一旨いわけではもちろん無いけど。
これはちゃんとした“地酒”だ。

2010年05月27日

コメント(6)

最近はいろいろな低精白「80」を見ますし、
80以外にも90や88、85といったものも見かけますね。
洗米がキーか、「貴 洗米機」でググったら今期導入です、ビンゴです。

ところで、王禄八十生原酒はいかがでしたか?
今出てるのが20BYでしたっけ?
2010年05月31日 22時26分50秒  エル・ドゥロ
おお、ググればでてきましたか。
>今年は新たな「洗米機」を導入(水泡で洗うタイプ)うことで、糖分が洗い流せたということで、例年より余分な味わいが切え味がクリアになった印象。

これですかね。よかった。裏づけできて。なんか、だろうだろうって記事を書いていていいのだろうか?と疑問に思いながら書いてました。
(゜ー゜;Aアセアセ

王王禄八十生原酒は、まだ飲んで無いんです。
今度、試してみます。
それまでにまだあればいいけど・・・
(゜ー゜;Aアセアセ
2010年06月02日 18時49分23秒  ごえも〜ん
今回もまた楽しく読ませていただきました。ありがとうございます。
(それにしても、うまいこと文章を構成されますねぇ...)

私も最近の低価格純米酒には期待してたりします。
ワインでも同じことと思うのですが、値段が高ければ旨くて当たり前ですから
値段と味を、いかに両立するか?という蔵の商売上だけじゃなく、飲む方にとっても趣味的におもしろいポイントですよね。

最近では会津の大和川酒造の良志久シリーズが気になってます。味は好みが
分かれそうですが、個性があって安い!
2010年06月04日 06時26分27秒  tomtom
王禄八十生原酒、まだでしたか!?
では、三芳菊の岡山山田錦袋吊りも?

閑話休題。価格について。
低精白でも蔵によってバラツキありますよね。
ということで、素人が「だろうだろう」で計算してみました。
(って、んな細かいから変人扱いされるんだな、僕は)

50と80で純米で全く同じ造りとしたら、
せいぜい200〜300円/1.8Lくらいの差しか出ない!?
(“原料米コスト+精米コスト”差のみ生じる場合)
酒化率や仕込み規模のが価格への影響大なんだなぁ。



2010年06月04日 19時44分06秒  エル・ドゥロ
tomtomさん
いえいえ、今回ほどとっちらかった文章はありません。どう読んでも、素人の文章なので、かえって、皆さんの温かい目を引き出しているかと・・・

この場合、純米クオリティを維持して、利益率を変えず勝負できる低価格まで持っていけるってのが、蔵と消費者がウインウインの関係(古いw)でイイと思います。

米国で会津の酒ってのも乙ですね。
大和川酒造ってのは知らないなぁ。都内で出回ってないのかも。

2010年06月07日 09時22分53秒  ごえも〜ん
エル・ドーロさん
三芳菊純吟無濾過生原酒、山田60は飲みました!
香りフルーティ、甘く濃く、蜜のようなウマさがある酒でした。
でも、この酒じゃなくて、もしや三芳菊にも低精米があるってことでしょうか?しらなかった。

価格に関しては、
「同じ手間暇で、酒造量が○倍」って簡単に考える方がいいと思います。
タンク代、瓶代、瓶詰め手間、人件費、流通費って考えるとややこしくなる。
ふむ、しかしエルドーロさんの指摘は興味深い、規模の増大で、利益の曲線はある一点から急激に上向きになりそうですね。
2010年06月07日 09時35分03秒  ごえも〜ん
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執筆者:ごえも〜ん
純米酒好き。
好きな酒は飛露喜。

ブログ:いざかやとかほうろうき