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今日も遊家にて…
第十五話 十四代<前編>
今回は、「そんな当たり前のことを」くどくどくどくど述べさせていただきます・・・

さて、十四代の話。
私は十四代が大好きだ。

しかし、日本酒が充実している居酒屋に行くと、良くあることだけど、
十四代の悪口をよく聞く。
特に、それは日本酒好きに多い現象だ。

客観的に見てみよう。
十四代は、現在一般的に一番支持を受けている酒。
これは間違いない。すごいプレミアムが付いているし、もっとも手に入りにくい酒であるし。
日本酒物語のランキングでも僅差の2位ではないか。

問題点の第一、たしかに十四代は手に入りにくい、プレミアム価格が付いていたり、
酒屋も変な抱合せ販売、もしくは販売条件をつけるなど、
嫌な思いをしている人も多いだろう。
消費者も直接購入するにせよ、居酒屋で飲むにせよ、
最終的にはその価格が、転嫁されてしまうわけだから概ね安くは飲めない。

しかし、酒屋が十四代を販売する際に、プレミアム価格や、販売条件をつけてしまうのは、入荷毎に定価で店頭で売り出せば、どうなるのかを想像してみれば分かる話だと思う。
店頭には情報をききつけた人々の長い行列ができ、買占めがおきてしまうだろう。そして購入者達の中には、YAHOOオークションなどで高値で売り抜ける人々もいる。
公平な販売方法が、蔵も酒屋も幸せにしないことになる。
ある程度のハードルを設けるのは仕方が無い。
また、最も購入しているお客に優先して販売しようと考えると、
販売先は、大手の居酒屋チェーンということになってしまう。
販売量が少ない小規模居酒屋、なにより一般消費者は購入の機会を喪失してしまう。
そのため、苦肉の策が、スタンプや、条件付けしたくじ引きや、同等クラスの違う酒との抱合せ販売ということになる。
スッキリしない解決法ではあるけれど、今現在これに優る方法が見つからないので、仕方が無いだろう。
そのように対策したとしても、一定価格以上の購入者にクジ一回などと条件付けし、入荷告知をした場合、酒屋開店前には行列ができてしまう。それが現状だ。

私は、二度ほど酒屋で十四代を購入したが、ふらりと寄った酒屋の抱合せ販売にかち合ったという偶然であった。抱き合わせの酒が、旨い酒であったし、定価販売に間違いは無かったのでまったく不満は無い。
酒屋としては、行列対策のために、こういうゲリラ販売という方法もあるのかもしれない。おそらく、足繁く通っている常連客への配慮なのだろう。

私などはそんな回りくどいことは辞めて、「良い物は高い」というのが商売の原則、普通に蔵が値上げして、蔵が利益を取るのが一番良いと思っている。

蔵の立場にして見れば、彼等の不当価格への対策は、信頼ある昔から取引のある酒屋に卸し続けるということだけである。
そして、もし目に余るほどYAHOOオークションなどに大量に商品が流れるような事態が発生した場合、シリアル番号などをつけて、流通ルートを特定するという方法もある。
※今現在、十四代のボトルにそのような番号は振られていないようである。

しかし、蔵としては複雑な心境だろう。
蔵→酒屋→居酒屋→消費者(→オークション)
このような流通を考える場合、2番目以降の→の部分で価格が上乗せされてしまう事態を防止しようとしているわけでは有るが、
価格を上乗せしても販売できるほどの、十四代には商品価値があるとも言える訳だ。それを防止するために、蔵が苦心しなくてはならないというのは、何たる皮肉であろうか。

普通、最初の蔵からの出荷価格を上げて、蔵が利益を取るのが一番フェアだろう。商品価値に見合うほどに値段を上げるほどに、購入希望者は減るだろう、そのクロスポイントが十四代の正常価格とも言えるわけだ。

話がそう簡単にいかないのは、
酒造仲間と、消費者側の反発も想像されるからである。
日本酒の価格には、大よその“縛り”がある。つまり、原料米と精米具合により「大体このくらいの価格」というものがあるわけだ。
一升瓶換算で、純米2500円前後、純米大吟醸であれば5000円前後、プレミアム大吟醸であれば上限1万円くらいか・・・というような具合。
それを大きく逸脱した高額な価格設定は、「儲け主義」の汚名を覚悟しなくてはならない。一気に客が離れ、業界からも孤立することを蔵は恐れるだろう。

また、行政との関わりを考えても、日本酒は長年酒税の主役であった。
日本酒の販売方法も管理されているわけである。今現在は、日本酒は斜陽産業であり、逆に保護される立場になりつつあるのだが・・・。(昨今の酒税改正でなんと税率が下げられた)
しかし一方では、酒販店免許制度は廃止され、販売は自由競争となった。
定価の維持に正当性があるのかどうかは不透明となりつつある。

これらいろいろなことに気を配ることが、古い歴史を持つ蔵には求められているわけだ。

少なくとも普通に定価で販売しろといっている居酒屋、人たちは、自分達を特別扱いしろと言っているのに等しい。
逆に、今のやり方が変わると、二度と飲めない価格になる可能性があるということを考えるべきだろう。

続く。






2010年08月24日

コメント(8)

プレミア販売で一番恩恵を受けているのは、、、、

このような人気商品が市場を活性化させていて、
様々な要素で他蔵のベンチマークとなるのは、
ある部分ではいいことなんだと思います。

抱き合わせは、お供のお酒とその蔵が可哀相です。
そうならんようにしなけりゃいかんのが蔵の勤め
といえばそうなんですが。
2010年08月25日 21時05分27秒  エル・ドゥロ
ごえも~んさん、こんにちは。
私も十四代が好きです。
ただプレミア価格、本来の価格の何倍ものお金を出しても
購入する人がいるっていう現実が痛々しいです。
それだけの価値と需要があるってことなんでしょうが、
この盲目的な十四代信仰が続いている限りは
日本酒業界の認知度はまだまだ低いと考えざるを得ないでしょう。
十四代以外の美味しいお酒はたくさんあります。
そういった銘柄の認知度や銘柄数がもっともっと増えてくれたら、
きっとプレミア価格なんていうものは無くなってくれるんでしょう。
2010年08月25日 23時46分27秒  ひなちゃん
おもしろい、そして微妙なテーマですね。
私はごえも~んさんの結論を、ワクワクしながら待っている...(笑)

2010年08月28日 03時30分03秒  tomtom
エル・ドゥロさん
レス遅くなりまして申し訳ありませんです。
なんか、風呂敷を広げすぎて、着陸地点にこまっています。(笑)

抱き合わせは確かにそういう面もありますよね。
転売しても利益がでないようにするのが、店側の意図なんでしょうけどね。

市場が活性化して、他の蔵のベンチマークになればいいんでしょうけど、
ずっと、王者に納まっているってことは、なんかおかしいと思うんですよ。
2010年09月15日 10時41分48秒  ごえも~ん
ひなちゃんさん
僕も、プレミアム価格を出してまで飲みたいとは思わないんですよね。
買うにしても居酒屋で飲むにしても。

確かに、他の酒にも着目されれば十四代への集中が減るのかもしれないですけど、僕は、もし、次の日本酒ブームがきたら、山形のそういった系の酒は、人気が出すぎて二度と飲めなくなるんじゃないかと心配してるんですよね・・・(^^ゞ


2010年09月15日 10時45分08秒  ごえも~ん
tomtomさん
更新遅くなってまして、申し訳ないっす。
そう、微妙、ふわふわした話題ですけど、
飲みながらは、結構話す話題だと思うんですよね。

今回の話は、わりと直球で進めますよ。
なので、くどいんですけど。(^^ゞ
2010年09月15日 10時47分23秒  ごえも~ん
なるほど自由競争が故の原理原則とするならば
確かに良いものは需要と供給のバランスを考えれば
飲めなくなる可能性は非常に大ですね。
円高円安と一緒で今のマーケットは
十四代高が続いているようなもんですね。
十四代安になるのは果たしていつのことやら・・
2010年09月20日 23時03分26秒  ひなちゃん
そうなんですよ。ぼくら日本酒ファンは、日本酒不人気なので、いろいろとっかえひっかえ飲むことができて、あれやこれや言うこともできてるんです。

十四代安になるって表現はおもしろいですね。まさにそのとおり。
2010年09月22日 17時58分42秒  ごえも~ん
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執筆者:ごえも~ん
純米酒好き。
好きな酒は飛露喜。

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