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今日も遊家にて…
第十六話 十四代<中編>
問題点の第二、味わい。
フルーティで、すっきりタイプ。
どちらかというと香りもある。
こういう酒が好きではない人もいるだろう。

そして、マスコミの論調も、
十四代を避け、他の酒を持ち上げるものが、ここ10年すべてと言えるだろう。
尾瀬あきらが提唱するように、燗酒、キモト、山廃、熟成など確かに日本酒にはいろいろな楽しみ方がある。
基本的に、十四代を筆頭とするフルーティ系の酒はそのような味わい方には向かない。
濃い味付けの、「芯が太い」系の酒がそのような飲み方に合う酒だ。
十四代の旨い飲み方はシンプル、冷酒に限る。

酒造関係者でも、
十四代をよく言わない人は多い。

素人も十四代の悪口を言っていれば、通のふりができる。

しかし、これらの十四代を取り巻く環境は、
すべて十四代の味わいには関係が無いことだ。

人により、淡白すぎると言う味わいでいて、旨口系の筆頭とも言われる十四代。まるで正反対の表現をされる。
私の評価は、
あっさり目の味わいであるけれど、絶妙、微妙なひだの折り重なるような深い旨味があり、後味が辛くなく、すっと消えていく。
イヤな雑味はない。純粋な旨さを突き詰めたような酒。
確かに、これは日本酒の王だと納得させる力がある。

大吟醸は淡白で、中間の旨味と酸の出し方は、純吟、純米になるほどに濃くなっていく。正直、十四代で一番旨いのは純吟ではないか?とも思わせるが、
しっかりした環境で飲み比べなどは、予算の関係でできないので、あくまで経験則だ。

十四代の目指す味わい、
特に「イヤな雑味のない」という部分は、
実は、日本酒業界が長年追いかけ続けていた味わいだ。
この部分において、山廃や、キモトという製法は考えられない。
それらの製法は、あえて言ってしまえば、「酒に癖をつけてつつ、旨味を出す」という製法であるからだ。つまり、不味くなるけど、補って余りある旨さもあるということ。ブルーチーズや、クサヤみたいなもんだろう。

そして、「純粋な旨さを突き詰めたような酒」という部分。
米、酵母、水そして、それらよりも味わいに決定的に影響を及ぼすといわれる造り。これらの組み合わせで、「旨さ」を突き詰めていくというのは、
日本酒作りの王道ではないだろうか?
何故、山廃やキモトが必要なのか?少なくともそれらの方がもてはやされるという事態は異常だ。それらは変化球だ。
そんなものを崇め奉るならば、まずは、「速醸モト」を開発した明治の研究者を褒め称えるべきである。速醸モトの利点は早さであるように思われるが、一方、酒質の向上にも並々ならぬ効果があるように思う。

「イヤな雑味のない」という部分は、かつて一世を風靡した「淡麗辛口」も実現した味わいだ。しかし彼らは、「辛さ」を求めたため、「旨さ」は減少した。
そういう意味合いで、「旨さ」を求める部分が新しい市場への提案であったわけで、それはある意味成功したと言える。

このような、評価基準であれば、
飲み比べをして、優劣をつけやすいという面もある。
私は、飛露喜を高く評価しているが、それよりも十四代の方が上だと思っているのは、「旨味」の出し方、広がりの絶妙さを評価してのことだ。

※一方、山廃やキモト系の酒は優劣をつけにくい。
 しかし、この話は本題に関係ないので置いておこう。

フルーティタイプといわれる酒には、
日本酒の歴史に基づいた必然があり、
純粋により旨さを突き詰める上で、酒蔵間での競争もある。
私は、この分野での競争をもっと活発化して欲しいと思う。
この分野こそ、日本酒造りの王道だ。
マスコミの論調に惑わされることは無い。マスコミは毎年「十四代がうまい」とは書けないだけだ。毎年記事が同じならば、記事にならないのだ。
そこを割り引いて記事は読まなくてはいけない。

変に十四代を批判するのならば、十四代を超える酒造りに取り組むべきだ。
「打倒十四代」
この意識が業界では希薄すぎるように思う。
もっと羨んでよいと思う。もっと売れる酒を造って儲けたい。それでいいではないか。

もし「技術が無いから、それが出来ないのだ」というのならば、
まずは、負けを認め、相手の強さを称えるべきだろう。勝負はそこからだ。
市場の要求はまだまだ満たされていないように思う。

話が脱線しがちであるが、
この話はまだ続く。
問題の第三、飲み飽きる。


2010年09月15日

コメント(12)

ごえも〜んさん、こんにちは。
いやぁ、読ませますね〜。なるほど確かにって思います。
十四代は名声を手にしつつも常にこっそりと何か変化を加えているような
気がします。現状を是としない飽くなき探求心。
これは飛露喜も同じ印象ですが。上手く言えませんが、
ゴーイングマイウェイを突き進むのがさぞかし日本酒と
捉えられがちですが、そうではなくて同じ土俵に乗っかる
(飲む立場としてもそういった見方をする)こともやはり大事なんだと
思います。
2010年09月15日 22時57分06秒  ひなちゃん
十四代が、こっそり研鑽しているってのは同意見です。
飛露喜も規模が小さいなりに、毎年なにかやってますよね。

人はそれを「まずくなった」なんて言ったりしますけど。。。
一番大きな市場のような気がするんです。この分野に競合が少ないというのは、残念に思うんですよね。>同じ土俵
2010年09月16日 18時37分05秒  ごえも〜ん
どうも、管理人です^^
十四代うまいですよね〜私も大好きです。
以前にごえも〜んさんが掲示板で十四代の何かを飲まれて
「超絶うまい」っていう表現をされているのを見て、
的を射た言い方だな〜と思ったことがあります。

個人的には十四代、または、同等のお酒が近所の酒屋やコンビ二で
普通に買えるようになってくれれば嬉しいのですが。
そうなれば日本酒全体の人気は間違いなく上がるでしょうね。
2010年09月17日 12時26分11秒  管理人
そうなんですよ。十四代の中には、震えが走るような旨い酒がありますよね。
そのクリア感は曇りの無い、クリスタルの結晶のようで、そこに旨味を丁寧に積み上げていく作業、その途方の無さにたたただ、敬意を表すしかないです。

その驚きが「超絶うまい」ですよね。

いいですね。十四代がコンビニで飲みたい。同感です。
現代人の飽くなき欲望、エゴと呼ばれようとも、それが希望です。
大手酒造会社も10年かかってもコピーできないんですね。
それはそれで痛快ですけどね。
2010年09月18日 14時09分04秒  ごえも〜ん
話が業界全体に広がり面白くなってきました!!
ボクは十四代は今だトップランナーではあるものの、既に追従者によるそれ以上のお酒が沢山あると思っています。
ブラインドで利いたり並べて飲み比べたりして呑むとよりそれを感じますね。
好みなのでなんともいえませんが。

純米系信者&蔵による十四代批判は、、、好み云々を通り越しており、いかがなものかと思うものがありますね。



2010年09月20日 08時42分01秒  エル・ドゥロ
話がいよいよおもしろくなって参りましたね〜♪

十四代批判、というのは私はさほど気にならないですね。日本酒に限らず
トップランナーは常に嫉妬、羨望、やっかみを受ける宿命にありますから。
いろいろ読んでいても、するがための批判、が多いように感じています。
プレミア価格についても、蔵に一義的責任があるわけでもないですし

私にとって当面の一番大きな問題は、気楽に飲めないことですねぇ(苦笑)
執着心が不足している人間にとっては、入手至難です。
2010年09月21日 03時07分48秒  tomtom
エル・ドゥロさん
そうですね。この2年位でも、知らないうまいお酒がどんどんでてきてますから、特にまったくのノーマークだった滋賀の酒なんかは、狙ってるのかどうなのか、とんでもない勢いありますからね。
ブラインドでの利き酒、下克上起こす可能性ありますね。

2010年09月22日 10時00分24秒  ごえも〜ん
tomtomさん
そうなんですよ。気にしなけりゃいいんですけど、全員が全員そんなかんじなので、イライラするんですよねー。いやぁ、人間ができてない。(笑)

確かに、異常な執着心がないと飲めないですよね。
そこらの料理屋で本丸を1000円以上だして飲んでる場合じゃないし。。。

2010年09月22日 10時05分56秒  ごえも〜ん
私も基本的にフルーティー,さっぱりタイプが大好きです。今も十四代酒未来を山丹正宗とちゃんぽんして飲んでいます。
ただ,料理との相乗作用をあえて切り捨てたような気もします。
菊姫(平成8年)の純米は,単独で飲んだときには酸味がやや気になるのだけれど,お刺身やサザエの壺焼きと合わせると思い切り輝きます。
それにしても,いろいろな方向性がありますね。

ちなみに今はまりだしているのは正雪です。フルーティー,さっぱり系です。
2010年09月25日 13時21分29秒  静岡の日本酒がいい
菊姫苦手なんですよ。意外と居酒屋にも置いてないし、放置したままです・・・。菊姫の本、読んだことあるんですけどね。
壷焼きに合いますか!
富山に行く機会があったら、ぜひ地場のものとあわせてみたいな。

正雪は、さっぱりフルーティでいいですよね。
ちょっと後味がずいぶん辛いのが、ちょい気になるんですけどね。
2010年09月27日 22時38分37秒  ごえも〜ん
ごえも〜んさんとは好きな酒がかぶっているので,恐縮ですが好みが近いと思います。私は基本的に晩酌でご飯の代わりにお酒を飲んでいますので,料理との組み合わせが気になります。単独で飲んでおいしい酒(飲みやすいお酒)は,[鼠に負けてしまう⇔鼠と適当な距離を保ちながら自己主張するN鼠と張り合うの鼠とけんかして勝ってしまう,のどれかに当てはまるものが多い気がします。十四代は(本丸を除く)△里茲Δ糞いします。
2010年10月03日 21時36分00秒  静岡の日本酒がいい
ごえも〜んさんのお話いつも楽しみにしています。
今持ち帰り仕事が終わり,2本目を買うことのできた十四代酒未来を寝酒にしながら十四代〈後編〉を待ちわびています。酒未来が特にそうなのか,どんな料理ともけんかせず,かつ自分を見失わない不思議な酒です。
2010年10月18日 00時16分21秒  静岡の日本酒がいい
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執筆者:ごえも〜ん
純米酒好き。
好きな酒は飛露喜。

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