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今日も遊家にて…
第二十二話 白隠正宗の高嶋酒造見学
遊家の須藤さんに引率されて我々一行は、沼津の高嶋酒造にやってきた。

最近媒体に露出多いですね。東京人2月号、ダンチュウ3月号・・・
新進気鋭の若手蔵元杜氏。
富士山の伏流水を仕込み水に使用して、静岡独自開発酒米、酵母で酒を醸す。
近年アル添を全廃、全量純米となりました。
スペックだけ見ても、酒好きにはたまらないですね。

酒質は穏やか。云えば華やかな香り無く、酸味に乏しい。しかし飲みやすい。
それが蔵元の目指す酒です。燗に向きます。

蔵は、旧東海道に面しており、JR東海道線原駅より徒歩3分。ほんとに便利な場所にあります。ほぼ駅の横です。
当日は生憎の雨でしたが、きっと富士山が綺麗に見えるロケーションでしょう。
蔵元さん曰く、静岡の主だった蔵は、旧東海道に面していることが多いとのこと。

今は、仕込みの真っ最中。最終盤といったところです。
蔵人達も忙しく行き来する中、われわれは場所によっては遠巻きに見学させていただきました。
これが、洗米機か、これが瓶火入れ器か、コンピュータ制御ではない精米機などなど。

その後は、事務所で蔵元高嶋さんと酒談義です。
蔵の人の話はいつ聞いても面白い。

高嶋さんが大学を卒業して、酒を作り始めたのは10年ほど前だそうです。
農大で事情により酒造ではなく、醤油醸造を学び、教授推薦で同じ静岡の開運(土井酒造場)で研修。
卒業後、半年酒類研究所にいて、早く酒が作りたくて蔵に戻ってきたそうです。

その後、南部杜氏を招き、酒質変更に取り組みつつ、実地勉強継続。
杜氏さんが急病ののちは、杜氏を置かず自分たちで酒を作り始めたとのことです。
蔵人は通年雇用で、自身を含め5名ほど。徐々に増えて、今は500石ほどを醸します。

研修で開運にお世話になった話。
「先代土井さん、波瀬さんにはほんとに世話になりました。」
開運蔵元土井さんと、杜氏波瀬正吉は静岡地酒を語る上で知らぬ人はいない有名人。高嶋酒造とも関わりがあったとは。
開運を全国区にした波瀬正吉も2009年没。酒造史に名を残したと思います。
「土井さんに、酒造りはだれでもできることじゃない。楽しんでやりなさいと云われて、自分の中でスイッチが入った。」そうです。
土井酒造場は、いい酒を造ろうという活気に満ち溢れており、まったく自分の蔵とは違っていた。そう話す高嶋さんがまるでその経験が自身の誇りであるかの様子でした。

主に使用している誉富士は静岡県で開発された酒米。山田錦系だそうです。
「早生の五百万石は好きではない。山田系が好き」
蔵の看板に五百万石の表記があり質問、それは昔使用していた米とのことでいただいた返答。
※Web参照するかぎり、山田錦、誉富士を用いた酒が多い。

酵母は一種類。静岡酵母のNEW-5
「コンタミネーション防止という利点あり」
1種類であれば、他と混ざる心配が無いとは至言だ。

酒造りを開始した10年前、酒造は大きく変わり、蔵直伝の秘蔵技術が大学で精査されつつあった時代だったとのこと。
つまり、いままで秘密とされてきた技術に誰でもアクセスできるようになった。
「十四代の高木さんが道を開いてくれた。この技術を持ち帰って酒を作っても良いのだと。」
日本酒の酒質はこの十年で大幅に向上したとの認識。
今の若手は更に進み。当たり前になった技術を土台に自由な発想で酒を作り始めていて、さらにおもしろいとの評価でした。
私もしみじみ同感。10年ですごい勢いで酒がうまくなった。そして今は酒造りを始めた若手がいきなりすごい酒を作ったりする。

当時の大学同窓には、澤の花、楯野川等々今もてはやされている蔵の後継者が集っており、いまでも交流盛んとのこと。
「自分たちの世代には◯◯グループといったようなものは無く、今もみんな仲が良い。」
ぜんぜん味が違いますよねと相槌を打ちました。
いろいろな酒造りがあって良いのだ。

「割り水は積極的にすべき。」「原酒でだしているところは、ちょっと不親切なんじゃないかなと思う。」
アルコール度数ではなく、味わいでもっと水を加えてもよいのではとのことです。
同感同感。自分的には低アルコールの日本酒も好きです。14−15度くらいのやつとか。

その後、蔵の代表的な酒を数種類を試飲させてもらいつつ話は続く。

高嶋酒造の銘柄は、白隠正宗。
白隠とは、東海地方の別名などではなく、近所のお寺に由来する。
江戸時代の臨済宗中興の祖と云われる白隠禅師。
この地一帯で布教活動し、墓もこの地にあるのだ。

高嶋さんの求める酒は、食事しながら長く飲める酒。
酸は少なく平板。しかしながら、そうであるから少量の味わいが逆にアクセントとなり存在感を示すそうです。
熟成も好きで、目下研究中。
しかし、ヒネるのは嫌い。

また、生酒も好みではない。なぜなら味が変わってしまうから。
火入れを基本としている。
少量、近隣に生酒を出荷することがあるが、それらは1周間以内に飲みきって欲しいと注文があるようです。

随分長い文章となった。
まだまだ話は続き、画期的熟成酒作成方法、ダンチュウのキモト特集の説明表記には誤りがあるのでは、開運の本醸造はレベルが高い等々・・・

夕刻となり、予約の居酒屋の時間となってしまったので移動開始。
それはそれで楽しみ。
その後は、第二十一話に続く。

2015年03月05日

コメント(4)

日本酒の酒質がこの十年で大幅に向上したというのは、
日本酒好きなら誰もが同感するところですね。
人に歴史あり。良い仕事をされていてうらやましくもあります。
2015年03月06日 09時48分45秒  てすと1号
酸認知の十年って側面もあったように思います。
それに対するアンチテーゼとしての酸を極力無くすという発想は面白いかと。
十年面白いなぁ。
2015年03月07日 17時21分05秒  ごえも〜ん
ごえも〜んさん、お久しゅうございます。
8日の若手の夜明けで白隠正宗も来ており、飲ませていただきました。静岡にしては骨太な酒という印象で、ガッツリ肉いきたいと思わせる味わいでした。
2015年03月09日 18時18分52秒  さけあきんど
おひさしぅ。
若手の夜明け賑わってましたか。(^^)
そうですね、確かに系統違います。

2015年03月12日 22時47分29秒  ごえも〜ん
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執筆者:ごえも〜ん
純米酒好き。
好きな酒は飛露喜。

ブログ:いざかやとかほうろうき