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今日も遊家にて…
第二十四話 TPPで酒は安くなるのか考えた
TPPが締結されると、日本酒は安くなるのかと思いいろいろ調べてみた。

たとえば、オーストラリア産日本酒なるものがあると仮定すると、どれほどの値段になるのだろう。
結論から申し上げると、日本・オーストラリア同等品で、7割掛けくらいの安値にはなるのではと考える。
TPPで、影響をうけるのは関税の部分である。アルコール類は早晩ゼロに引き下げられるだろう。理由は、アルコール類が保護対象の5品目(米など)に含まれていないからだ。
現状も、ビールやウイスキーはすでにゼロで、ワインなどには関税がある状態である。
清酒の輸入関税がどれほどになるのか、どうやら今現在 70.4円/1000ml になっているようである。これがゼロになる。
※まあ、一升瓶で、126.72円であるので、あまり大きな要因とはいえない。
http://www.47news.jp/CN/201311/CN2013110101002753.html

関税以外の税金は、酒税がある。しかし、これは国産であろうが、外国産であろうが等しく掛けられるので、値段差の要因とはならない。
しかし、酒別による税率の差はTPP加盟国から不公平であるという指摘があるやもしれない。そうなると、酒税はアルコール度数で均等と税制が改正されるかもしれないのだが。

さて、もっとも大きな差となる部分は何であろうかというと、やはりそれは、原料である米では無いだろうか。
今現在、オーストラリアでは大々的に酒米は生産されてはいない。しかし、一部情報でクイーンズランド州で小規模生産が始まっているという話もある。
価格比較のために、今現在オーストラリアで流通している飯米を調べてみよう。
オーストラリアでは、消費される米の80%はジャポニカ米(短粒米)とのことである。100年前に渡った日本人が広めたのだ。
http://www.sunricejapan.jp/australian.html
カルフォルニア米なども流通するそうであるが、現地でもコシヒカリや、ササニシキなどが栽培されている。
ここでは、コシヒカリの価格を比べてみる。
現地では、sunriceというメーカーブランドでコシヒカリが流通しているようだ。価格は、2015年4月現在で20kgで、35豪ドル。ざっくり3500円と考えて良いだろう。
日本では、新潟地域以外で生産されるコシヒカリは、20kgで、6500円と考えて大きな差はないだろう。(amazon.co.jp調べ)
概ね、半額である。
万一、オーストラリアで酒米生産が始まると、日本の半額で流通させる潜在能力があると考えて良い。大体、日本でほぼ生産されなくなってしまったササニシキを彼らは生産している。ササニシキは、日本では冷害に弱く、倒れやすいとのことで敬遠されたのだ。今では絶滅危惧種とまで云われている。

さて、日本酒の価格を計算するのであれば、原価率も知らねばなるまい。
純米酒で、原材料の米が占める割合はおおよそ25-30%といったところでは無いだろうか。自信がないので、間違っていたら指摘して欲しい。
30%とすると、それが半額になれば、最終価格は15%引きになるのかというと、きっと違うと思う。
たいていは原価の○掛けという数式で売値を決めるようにも思う。
まあ、瓶代、水代、光熱費、その他動かない費用もあると思うので、えいっと決めた価格が、冒頭の結論となる。

コレだ→ 日本・オーストラリア同等品で、7割掛けくらいの安値にはなるのではと考える。(笑)

その他、価格を決める要因に、人件費や設備費などもあるかと思うが、これは日本とさほど変わりないだろうと想定した。

さて、オーストラリアにて日本酒製造をしている会社はあるのかというと、実はすでにある。
サンマサムネ社と、鈴蘭酒造である。
そのうちの鈴蘭酒造は、2000年台に進出したが、数年で撤退(倒産?)したようであるので、なかなか商売は世知辛い。
世界で製造される日本酒の資料を、日本酒醸造協会誌がまとめてWebで発表しているので、ご興味のある方は参照いただきたい。
http://www.kitasangyo.com/Archive/Data/sake_history.pdf

この記事は、サンマサムネ社の日本酒を想定して書いた訳ではなく、オーストラリアというのは、一例である。
しかし、彼の国は農業立国であるので、きっとやるだろうとは考えている。
http://www.sun-masamune.com.au/home.htm

安い酒米生産が実現したら、それを日本に輸入して、日本の酒蔵が酒をつくれればいいのではとも思う。
しかし、米は、TPP交渉の重要保護品目であるので、なかなか難しいだろう。
もっとも、政府はワインの輸入関税ゼロの見返りに、日本酒は相手国の関税ゼロを要求するそうなので、ゆくゆくは、米の中でも酒米の関税は特別扱いされる可能性もあるかもしれない。
よって、米の関税が低減・撤廃されるまでは、酒が安くなるのかどうかは、現地で酒を製造することが条件になるかと思う。

※画像は 写真AC より
http://www.photo-ac.com/


2015年04月10日

コメント(4)

高評価を受ける酒は、いよいよ世界に進出していくことになるのでは?と
思います。実際、日本酒の輸出は伸びていますので。

伝統と名声を持つ蔵が、兵庫の山田錦や岡山の雄町を使用して醸す銘酒は
世界の日本酒愛好家が競って買い求めるプレミアム商品化するかも。
そうなれば、実力のある蔵は世界の富裕層をターゲットにするでしょう。

逆に、海外産の安価な日本酒の輸入も増えると思われます。

その時、我々はどんなお酒を飲めるのか?気になります...
2015年04月10日 02時40分31秒  tomtom
テレビ東京とか見てますと、海外での日本酒の注目度かなり高まってる見たいですね。数年前にアメリカでまず高まってきて、近年はフランスや、オーストラリアに波及といったところでしょうか。
日本人として、誇らしいですね。(^^)

日本の酒蔵も、ワインのように産地の米を使用したいと言ってる人もいるようです。日本酒は、米は全国から取り寄せますからね・・・
兵庫の山田錦、岡山の雄町はわれわれにとってはプレミアムなんですが、海外の人に説明するには歴史や味わいとか、いろいろ啓蒙が必要ですね。(^^ゞ


2015年04月11日 09時15分38秒  ごえも〜ん
日本酒は嗜好品だし、イメージやブランドがあるからそうは変わらないだろう、と思うのです。ゆるやかには、tomtomさんの仰るような二極化というか、ブランド消費/趣味的消費/低価格選択消費に三分されていくのでしょう。

ただ、小麦におけるASWのような圧倒的なものが出てくると、世界が一変する可能性がありますね。
日本酒はワインほどストーリー性を打ち出していなくて、技術とか品質とか内容重視でありますから「外米のほうがどうしても美味い」となればどうなるのかな。
2015年04月11日 12時36分59秒  エル・ドゥロ
緩やかな変化と、突然の変化ですか。
興味深いですね。
2015年04月12日 00時49分47秒  ごえも〜ん
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執筆者:ごえも〜ん
純米酒好き。
好きな酒は飛露喜。

ブログ:いざかやとかほうろうき