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今日も遊家にて…
第六話 にごり酒
かつて日本酒業界のタブーであったそうだけど、濁った酒は、酒造技術の低さと見られたのだそうだ。

今の時代、生酒というのは旨い酒のキーワードとなっている。
旨さが正に濃く、甘く、そして炭酸の苦味と生酒独特の味わいがあり、日本酒好きにはたまらないものだ。冬の新酒の第一弾として各蔵から出荷されるこれらは、季節の風物詩として受け入れられている。

ほとんど濾過されていない白濁したものから、ほんのり澱が漂うもの、もちろん無色透明な濾過が完全なものまで、生酒にはいろいろある。

通常は、濾過、火入れ、加水などの行程を踏んだ酒が完成された日本酒である。
その行程を途中でやめる不完全なものという意味もあり、いまだ業界では斜視される面もあるのだ。

歴史的には、
江戸時代に酒造技術は主に灘地方で進歩し、それまで白濁していた日本酒を濾過する技術が開発された。これは、灘の澄み酒として都市部でもてはやされ、灘は日本酒先進地としての地位を確立した。
その後、明治期になり、国策(軍事費は酒税に依存していた)もあったのだろうが、国の指導により徐々に地方の酒質改良も進み、見た目や味わいなどの地域差も無くなっていった。
※新潟地方でも灘のような酒が造れるように・・・、というその時期を描いた漫画が尾瀬あきらの「奈津の蔵」だ。

その歴史を見れば、濁った酒は、酒蔵の恥という感覚も分からなくは無い。

しかし、おそらく、
「蔵でしか飲めない」
という紹介のされ方で、生酒に徐々に注目が集まっていったのだと思う。

京都伏見の増田徳兵衛商店は、そういった製造途上のにごり酒特有の旨さに着目し、1964年に初めて市販化した。
この蔵が元祖といわれる由縁は以下の通り。
当時も今も酒造は酒税と密接に関係しており、製造量は税額に直結するため、そのごまかしは出来ず、厳密に管理されている。
そのような中、製造途上の酒を出荷するといってよい、にごり酒の製品化には大きな抵抗があった。また、蔵元の意識としては、密造酒として違法とされた“どぶろくの復活”も意図していたので、役所の反発はなおさらである。
結局は、蔵側の粘り強い交渉が実り国側が折れた。酒税法は書き換えられ、にごり酒の製法が新たに規定されたのだ。

酒造の歴史に逆行するかのような、にごり酒誕生の動機が、
旨いから。というのはほほえましい限りだが。
現時点でもにごりや生酒が酒飲みに支持されるのは、まさにその一点に尽きるだろう。
真実というのはなんであれ、シンプルなものだ。

そんな中、
にごり酒は、フレッシュで、甘く、飲みやすい。
また、どぶろくのようでノスタルジーな印象もあるということから、
大手酒造会社からは、イメージ先行の添加物を使用した外見だけにごり酒というものも多く製品化されるようになった。
「どうせ、酒造りのときにタンクの底にたまる澱を混ぜて作ってるんだろう」
というような陰口も聞かれる。

当然、そういったにごり酒は火入であるし、特有の味わい、風味といったものは無い。
白濁していればなにをやっても良いのか?というのが批判の主張であり、うなずける。
ただしかし、当コラムでは、その批判が主旨では無いので、ここでは置いておこう。

最後に、
福井県に早瀬浦という酒があり、県下でも最小の蔵である。
しかし醸される酒は一級品。私としては、北陸地区最高の酒だと思っている。

そんな早瀬浦で、初めて飲んだのは、純米滓酒「浦底」。
初見は最悪。
大体、早瀬浦は、狙ってやってるのかラベルがダサい。まるで焼酎みたいにちょっと派手。この酒なんかは鯛まで踊っている始末。

酒瓶の底に白く濁った澱が溜まっていて、飲むときには瓶を逆さにして混ぜる。
そうすると注いだ酒は、良い感じに白い澱がまざり濁る。
重たく甘酒のような感じを予想してぐいっとやると、予想に反してなかなかに爽やか。
良いにごり酒は、爽やかに甘く、余韻もすっと消えるものだと思っているが、正に、この酒はそれだ。
いい旨味もあり、なかなかのもの。
ラベルの裏には、この酒のスペックとともに、紹介がある。

■蔵元より一言 : 純米滓酒浦底は純米酒と純米吟醸酒のおり酒を集め、純米原酒にブレンドしてあります。旧式のフネと呼ばれる搾り機から誕生した、まさにタンクの底の部分です。生まれたままの日本酒でフレッシュな美味しさを、そのまま詰めてあります。火入れ(殺菌)を一切してないうえ、生きたまま酵母が入っています。まずは上澄みをお試し下さい。軽くふっておりを絡めて飲んでも爽やかな口当たりです。

おいおいおい、ここまで堂々と書かれていると、いっそ爽やかだよ。
ふーむ、狙ってやってるんだろうなぁ。
ここの蔵元は、農大を卒業し、一年他で修行して実家に戻ってきた経歴。
酒造りのなんたるかは、すべて知っているはず。
それであえて、こういうものを造ってしまうんだから、

正に、旨いから。
この一点に尽きるのだろう。















「白瀑」で有名な秋田県山本合名会社が醸す、これが話題の「ど」だ!
2010年03月09日

コメント(15)

春はにごり、うすにごりがたくさん出てそそられます。
最近は法改正で酒蔵Madeのドブロクも出てますね。
もうそろそろ「ど・ピンク」も出てくるかな。
2010年03月10日 22時02分31秒  エル・ドゥロ
ど、旨いですよね。
ぼく的には11月早々に出てくる。飛露喜特別純米かすみ酒生が、お気に入りですね。
霞み酒って言い回しを考えた人も偉いと思うなぁ。
2010年03月11日 10時33分08秒  ごえも〜ん
ど、旨いですか?ラベルがラベルだけに昨年買おうかどうか迷っている内に完売してました。今年は買おうかと思ってるんですが・・飛露喜旨いですよね。かすみ・無濾過生共に最高だと思います。
2010年03月18日 00時18分55秒  ひなちゃん
ひなちゃん、
いや、ひなちゃんさん?
どは、キワモノっぽいラベルですけど
味は正統派のにごりです。
あっさり、フレッシュで旨い。
いいさけですよ。

このあいだ、どピンク入荷してました。

でも多分、普通の白いにごりのほうが旨いと思います。飲み比べたことはないんですけどね。
2010年03月20日 00時21分48秒  ごえも〜ん
こんにちは、ごえも〜んさん。ひなちゃんさんなんて気恥ずかしい。良かったらひなちゃんでお願いします。「ど」は飲んだことないんですが、白瀑は山本含めて飲んだことあって結構好みの銘柄なんです。ただ「ど」は少し躊躇してしまいまして・・・今年は「ど」か「どピンク」チャンレンジしてみます。
2010年03月20日 23時57分03秒  ひなちゃん
ひなちゃんこんちわ(^^ゞ
確かに、笑っちゃうくらいの沈殿ぶり。躊躇するっての分かります。
2010年03月22日 12時46分10秒  ごえも〜ん
ごえも〜んさん 
こんばんわ〜です。
コラムに初めて投稿させて戴きます。
早瀬浦「浦底」呑みましたよ!
家内と行った行きつけの店で大将が出してくれました。
最初に上澄みを呑みたいと思っていたところ
店員さんが即行ふってしまいました。((@_@;)
でも旨かったですよ。爽やかって解ります!
ちなみに家内は岐阜の「純米 白川郷 にごり酒」って言う
どぶろくみたいなお酒が大好きです。
すみません。これは対象外ですね。


 

2010年03月27日 01時10分56秒  かずちゃん
かずちゃん、こんばんわ〜
呑まれましたか〜。
即振りとは、店員分かってますね!(笑)

奥さんの好きな白川郷って、名前からすると飛騨高山ですかね〜。
良い酒ありそうだなぁ〜。
あれ、調べたら大垣市の酒蔵・・・。(._・)ノ コケ(笑)
2010年03月27日 23時14分08秒  ごえも〜ん
ごえも〜んさん、こんばんは。
どピンクついに飲みました。
見た目よりもかなり正統派でびっくりしました。
強めの酸とコクが印象的です。
ノーマル「ど」は無かったのでどピンク購入した
のですが、次はノーマル「ど」もチャレンジします!
2010年04月02日 21時17分00秒  ひなちゃん
ひなちゃん、呑まれましたか〜。
かなーり、正統派ですよね。
ぼくも、どピンクを先日飲みなおしたんですけど、
旨かったです。
ピンクの酒は、古代紫米をつかうやつと、酵母を使うやつ二種類あるらしいんですけど、これは後者の酵母でピンクにするタイプとか。
何気に、優秀な酵母菌のようですなぁ。

ノーマルどと、どピンクは飲み比べしないと味の差がわからないかもしれないですね。それほど、どピンクもしっかりした味でした。
2010年04月05日 13時48分38秒  ごえも〜ん
「ど Summer」飲みました。
どピンクみたいに酵母で青くしたのかと思いきや
瓶が青いんですね(笑)。
夏限定みたいですが、炭酸はどピンクよりやや強め、
いかにも気だるい暑さの時に一杯という感じです。
「ど」シリーズお気に入りになってきました。
2010年06月12日 21時35分47秒  ひなちゃん
「ど」シリーズは、黒もあるみたいだし、猛威を振るっているようですねw
去年まではこんなに種類が無かったと思うんだけど、知らなかっただけなのかな。いやぁ、全部飲み比べたい。(^^ゞ
2010年06月17日 20時05分56秒  ごえも〜ん
ごえも〜んさん、こんにちは。
「どくろ」も飲みましたよ〜。
他の「ど」シリーズと異なって酸味はほとんど無く、にごりの上澄みを竹炭パウダーで黒くした感じ。清涼感のある仕上がりです。
リキュール表示の本生仕様です。
昨年まで「ど」は未飲シリーズだったんですが、
今年は一気に行っちゃってます(笑)。

2010年07月04日 21時25分22秒  ひなちゃん
どくろ僕も飲みました〜。
もうちょっとシュワシュワしてたら、まんまコーラですよね。(^^ゞ
ちょっと粉っぽい感じがすると思ったのは、竹炭って先入観ですかね?
でも、あいかわらず旨かったですね。どシリーズはいい仕事しますね。

リキュール表示ってのは気づいてませんでした。
ふむふむ。

ぼくも、今年は見かけたら必ず飲むようになっちゃいました。(笑)
2010年07月11日 23時01分41秒  ごえも〜ん
ごえも〜んさん、こんにちは。
「ど 純米」晴れて本日飲みました。
1年越しですね。「ど」シリーズはピンク・黒と共に
飲みましたが、ベーシックとなるであろうこの「ど 純米」は
基本となるべき旨さ・キレを兼ね備えてます。
これはやっぱり旨い。
古酒と共に日本酒のカテゴリを幅広くする一品と思います。
早瀬浦、あそこで売ってるなぁ、今度買ってみよ。
2011年01月08日 22時44分01秒  ひなちゃん
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執筆者:ごえも〜ん
純米酒好き。
好きな酒は飛露喜。

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